雑記

思いつくまますらすらと。ただし乱文です。

冴えない奴こそ気をつけろ!ファイナル

前回の記事の続きです。これで終わりです^_^;


運が悪い事に信号は赤!

渡ろうにも渡れず、ヤスとの距離は縮むばかり。本気でどうしようかと攻めあぐねていても、奴はどんどん近づいて来ます。

ヤスとあと5メートルほどになった時、私は意を決して巨体を揺らしながら爆走しました。信号を迂回して公園を突っ切り、ヤスを撒こうと思ったのです。

何が悲しくてこんな雨の中を走らなければならないのか。そんな禅問答を自分に問いかけても、よくよく思えばメールをしなかった私の至らなさなのでは?という自責30%と訳のわからない怒り20%、そして我が身に降りかかる身を滅ぼしかねない恐怖30%と兄よ!早く来てくれ!という希望20%を胸に走る巨漢はさぞかしタンクローリー並みの迫力があった事でしょう。

私は長距離走が非常に苦手なので短期決戦に挑んだものの、ヤスはラバーソールをものともしない爆走ぶりを見せつけてきます。うはww足速えwwwなんて今でこそ草を生やせますが、私はもう泣きそうでした。あの漫画喫茶さえ通っていなかったらなんて後悔も無駄無駄です。

私は雨で携帯が濡れるのも構わず兄に電話しました。


「ごめん!今どこ!」

「あと3分くらいで着くよー。渋滞ハマってる。あとお前なんか息荒くね?デブだから?」


ちげえよ!身の危険が迫ってんだよ!スッとろい事言ってんじゃねー!と思いながらも、公園を一周しようかというところで僥倖が。

目の前に兄の車が見えたのです。

距離にして40メートルほどでしょうか。背後を振り向くと、ヤスの姿が見えません。ちょうど林が生い茂っていたので、死角になったのでしょう。私の姿が消えたと思ったのか、ヤスは何やら怒鳴っているのが聞こえましたが構ってる暇なぞありません。

私は今までの人生に無いくらい全力疾走しました。あの疾走は、中学生の時に出たリレーの時以来でした。

そうして私は、運良く信号に捕まっていた兄の車に飛び乗る事が出来ました。ヤスを振り切る事に成功したのです。

ずぶ濡れで飛び乗ってきた私を、兄は初め爆笑していましたが、普段なら笑い飛ばす私が脱力したのを見た兄が何やら察したようで、帰宅したあとご飯を食べに連れて行ってくれたのが有り難かったです。その時、兄にだけは事のあらましと顛末を話しました。


後日談ですが、ヤスとはその後徹底的に接触を断つ為に最寄りだった駅を使うのをやめ、ママチャリで出勤するようになったので特に何もありませんでした。

彼が本当にバンドマンだったのか定かではありません。ライブだと言いながら何故デブスを追いかけたのか。今思うと、下手したら殺されていてもおかしくない案件だよなぁ…と思います。

ですが、彼は私とカウンターで話していた時によく口にしていました。

「俺ジャン◯ダルクのボーカルに似てるってよく言われんだよね」とヘラヘラ自慢していたのが印象的でした。多分5回くらい聞いてたものw

ちなみに画像検索してご本人を見たら、ご本人とは似ても似つかないどころかどっちかと言えばつんく寄りの顔立ちでした。

これが私が彼をヤス呼ばわりしていた理由なのですが、今思うとご本人並びにバンド、ファンの皆様に大変失礼な理由ですね。お詫び申し上げます…!

以上が私の体験した実話です。お読みいただきありがとうございました。